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取扱説明書








「ん~むつかしいね、最近のは。」

彼女が眉間に皺を寄せて難しい顔をしてる。

「どれ、貸してみ?」

「嫌!!これは自分で解かないと意味がないの!」

こうなったら、テコでも動かない事を僕は知っているから敢えて手は出さない。

そう、君はいつもそうなんだ。

何でも一人でやってしまうから、僕の助けなんかいらないって顔をする。

気付いてるかな?

付き合ってもう随分経つけど、君が僕を頼った事なんか数える程度なんだよ。

『女だって自立しなきゃ』

君の口癖。

自立と強がりの違いって知ってる?

偶には僕を頼ってよ。

言いたいけど、言えない。

だって、それを言ったらお得意の口調で言い負かされるのも知ってる。

『好きな人に負担を掛けるなんて誰がすんのさ!』

甘える事が苦手な君。

分かってる。それが君の優しさなんだって。




でも、知ってるんだ。

自分で考えて、考えて、でもどうしようもなくなったら。

君は、部屋の隅でうずくまって、ふてくされて、少し涙を見せるって事。

その顔もかわいいから、僕はちょっと意地悪するよ。



ほら、そろそろ自分だけじゃ限界じゃない?

ほっぺたが膨れてきたよ。

二人でやろうよ。

僕は知らぬ振りをして、雑誌なんか読んでるんだから。

「ねぇねぇ」

って、いつものように服の端っこを引っ張ってよ。




僕はこんなに君の事分かってるのに、君はまだ分からない?

こんなにも君を待ってる僕の事。

むすっとしてるようだけど、君が側に居るだけでこんなに癒されてるんだよ。

『何考えてるか分かんない』

分かってよ。

こんなにも君を想ってる僕の気持ち。

ねぇ、そんなに一人で考え込まないで。

紙切れ読むだけじゃ分からない事も沢山あるよ?




そんな事考えてたら、君の表情がぱっと明るくなった。

「そっか!!このパスワードが違ってたんだ!」

僕は、横目で溜め息。

また君は一人で出来てしまったんだね。




喜んで僕に報告に来る君を黙って抱きしめる。

腕の中で紙切れを見せながら、説明をする君。

僕は苦笑い。




「君には取扱説明書が必要なんだね。」



ぽつりと呟いた。












END





















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なんか、最初に考えてたのと違っちゃったけど、これはこれで(笑
人間という精密機械の説明書。
あれば便利だけど、作ったら一人につき膨大なデータになるね。
1Gでたりるかなぁ?ってカンジ(;´▽`A``
人間は分からないから面白い!!
悩め!青少年(笑



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